バカすぎる

 相変わらず私に隠れて一生懸命A子さんと連絡を取っているダンナ。
 送ったメールも受け取ったメールもいちいちキチンと消している。
 ご苦労様なことです。

 先日ついにA子さんとのことに私が言及してしまって、ダンナはとりあえず「別れる」みたいなことを言った。
 まあ、とりあえずね。私が納得するからね。
 そうそう。嫁が納得して諦めてくれれば楽ですよね。
 目の前で携帯チェックとか、割と寿命縮みますよね。

 そんで会社とか車の中とかで連絡を取り合っているわけ。
 バレないとでも思ったか。私を誰だと思っている。
 っていうか、私のこと、バカだと思ってるんだろ。

 メールを削除したことを私に問い詰められたとき、最初はA子さんのプライバシーを守るためだといい、次に私の精神の安定を図るためだと言った。
 そりゃまた随分と難儀なことで。

 しかしその前にもあからさまに自分から送ったメールを削除した形跡がある。
 そして今も毎日毎日メールを削除している。
 面白いのは、残っているメールもあったりすること。
 もちろんあれからのメールは全て消しているが、それ以前のメールで当たり障りない内容のものはしっかりと残っている。
 私が読んで気を病むとしたら、A子さんからメールが入っているということに対して病むのであり、内容の如何は関係ない。

 そんなに私の悪口送りまくってんのか、アンタは。

 なんて、まあ、それはただ単にA子愛してるよ系のバカメールだって、ちゃんとわかってますけどねー。
 例え彼の言うことが全て本当だったとして……つまりただ単に人生相談を受けているだけで、できたら例の同僚君との仲を取り持ちたいだけだったら、メールなんて絶対消すわけがないのだ。
 しかし残っているメールはドラクエがどうの、花火がどうの、新しい携帯がどうのと、どう考えても教習所の先生に夜中に電話を掛けて2時間も3時間も相談するほど悩んでいる人間のものではない。
 その電話だって実際「おっぱっぴー」がどうのだったよなあ、ダンナ。
 それで「俺を信じられないのか」とか脅すような声で言われたって、笑いを堪えるのが精一杯ですってアナタ。

 「彼女はただ単に色々悩んでいるから話を聞いてあげているだけだ」
 →「相談の電話」の会話の中身はオッパッピー
 「お前が病むから電話しないで欲しいなんて書かれたメール、お前が見たくないと思ったから消した」
 →病んでる人間ならむしろそのメールが一番見たいと思うだろう、普通。
 「彼女のことを好きだなんてとんでもない誤解だ。浮気のうの字も考えたことなんてない」
 →ならその女と二度と連絡など取らないと目の前でメモリを消すくらいのことをしろ。
 「悩んでいる人間を放っておけない」
 →一生一緒にいるつもりだと今言ったのはその口だろう。一生犠牲にするの言い間違いか?

 ああ……文字にしてみたら本当にバカバカしい。
 こんなバカな男と結婚してしまったなんて人生最大の失敗だ。
 あのバカ女が本気でお似合いなのだ、頼むから離婚してくれ。

表と裏

 今まで、私の周りには結構不倫している女友達が多かった。

 不倫相手は大抵、家では奥さんに冷たくされていて、もしくは奥さんが浮気をしていたり、そういえば奥さんが暴力を振るうなどと言った男もいたような。

 そして浮気をする男と結婚してわかるようになる。
 不倫をしている私の友人達は、とことん便利な女達なのだと。

 「奥さんよりお前といるほうが安心する」
 「いつかは奥さんと別れてお前と結婚する」

 あー、嘘嘘。真っ赤な嘘。そんな気があるわけがない。

 結婚するって本当に大変なこと。
 膨大な資金をつぎ込んで派手に式を挙げるんです。
 たとえ地味婚だったとしても、結婚したての頃なんて嬉しくて嬉しくて普段なんて全然連絡もとってない人にバカ面の結婚報告ハガキを送るし、お祝いだって死ぬほど貰ってんです。
 別れたら別れたで好奇の目にさらされることは目に見えているし、男から別れたら慰謝料だってついてくる。

 ただでさえ面倒くさがりの男が、自分から別れるなんて本当によっぽどのこと。
 嫁といると自分の身が危ういとか、嫁が犯罪を犯しちゃったとか(笑)
 恋なんて全然。
 だって結婚してたって、いくらでも嫁以外の女を抱けるし。セックスにおいては嫁なんて全く何の障害でもない。

 だからこそ「浮気をすると妻に優しくなる」というのが
 定説として通っているのだと。

 「女房が暴力を振るう」と言ってあの子と付き合ってたあの男。
 さも世界中の不幸を背負ったような顔をしていた。あの子の前では。
 仕事中なんて別に普通に笑ってた。どうせ家でも笑顔で過ごしているに違いない。
 そして気が向くとあの子に連絡してあの子を抱くんだ。

 ウチのダンナの場合、A子さんには、自分が結婚していることは言っていない気がする。
 でももし白状しているなら、きっと私はとんでもない鬼嫁にされているのだろう。
 何を言われているかを想像すると、割と笑える。

嘘固め

 私がついに嫌味を言ってから、ぴたりと電話が途絶えた。
 もう全く何にも関わりがないと言わんばかりに携帯を見せるダンナ。

 …あの、確かに発信履歴はないですけど、削除した形跡があるんですが…

 受信メールも見てみる。一番最後に届いているメールは六日の20時。
 「メールと電話ありがとうございました」で始まるこのメール。
 ダンナは気付いていないのだろうが、ダンナの携帯はメールは、削除しても送信履歴はちゃんと残っている。
 消されたメールの送信日時はこのメールの5分前。
 A子さんのメールには「了解しました!」と。
 了解ねえ。つまり嫁にバレたから夜は電話するなとか、いや、A子さんには自分が結婚していることを言っていないはずだから、色々と夜電話が使えない理由をこじつけて送ったのだろう。

 「送ったメール、消したよね」

 ダンナは引きつり笑いで必死に弁明を始める。
 「それはプライベートな内容を含んでいるメールだったから消した」
 なんだそれは。メールってのは全てがプライベートなものじゃないのか?

 「ああそう、わかった。そうなのね」
 思いっきりバカにした目でそう言うと、さらにダンナは焦り始める。
 「ほら、恋愛感情がないっていっても女の子との電話だし、あんまり長電話をしていると嫁さんが病んじゃうから、電話はするなってメールを送ったんだよ。
 でもお前がそんなメールを見たら気分が悪くなるだろう?
 だからメールは消したんだよ、お前のために」
 まあいい。とにかく私に言えないことを書いているのは間違いない。
 本当のことは絶対に言わないということだけが本当なのだ。

 恐らく彼の「本当」はせいぜい結婚していることを言っていない、もしくは嫁との仲がうまく行っていなくて離婚を考えているなどと彼女に言っているとかその程度だろう。
 とにかくこいつが本気じゃないことも「本当」なのだ。
 先日嫌味を言ったときに「だって14歳も年下だよ?恋愛対象に思えるわけないじゃん。ちゃんと結婚していることも言ってるし」などと言うものだから、「じゃあ私と電話代われる?」と言ってやった。
 そのときは「当たり前だ」と言っていたけれど、それから一切家で電話しないあたり、やはり結婚していることを言っていないというのが正解だろう。
 本当に好きで将来を考えているなら、恐らく正直に結婚していることを話す。
 話した上で二人で色々と考えて私に対抗するに違いない。
 つまり、どちらかを選ばなければならなくなったとき、結婚式に数百万も掛けた上に親戚知人に大々的に公表してしまった私を選ぶほうが楽なのだ。

 別れてくれる気がないなら、安らかな睡眠のためにとっとと別れさせるべきなのだろうけれど、いかんせん今までと180度方向が違うから、矛盾が出ていけない。
 しかも私に隠れたところでコソコソと連絡を取り始めているし、始末が悪い。
 隠されると暴きたくなるのが人間心理。余計に病みそうだ。
タグ:浮気

三年目の浮気コース

 イライラしていると息をするように嫌味を言ってしまう人間で
 ついA子さんの話をしてしまった。
 このまま私のことなど気にせずふたりで勝手にどんどん
 戻れないところまで行かせるつもりだったのに。

 話のキッカケは、電話を切ったあとの
 「やっぱりあの子は○○君にぴったりだよ。うまく行くといいのに」
 という言葉。
 ○○君とはもともとA子さんに片思いをしているダンナの同僚。
 つまり「俺が毎日長電話をしているのは、○○君とA子さんの仲を
 何とかうまく取り持つため」だと言いたいらしい。
 同僚君の話なんて今までに一度もしていないではないか。
 あまりの白々しさに、つい嫌味を言ってしまった。
 要するに私は「捨てられる可哀想な女」に回るには、多少プライドが
 高すぎるのだ。

 「浮気?俺が彼女と?」
 彼は寝耳に水だと言わんばかりに仰天して見せた。
 絶対そんなことはない、いずみ以外の女とどうこうなんて
 考えたこともないと必死に繰り返すダンナに内心で舌打ち。
 まだ早すぎた。まだダンナはA子さんが好きで好きで
 仕方がないというところまでは行っていないのだ。
 せいぜいお嬢様風の若い女の子と一発ヤれたらラッキー程度で。

 というか、それを彼女に期待するのも少し厳しいかもしれない。
 電話の様子でも、彼女がダンナを好きなことに間違いはないし
 彼女なりに頑張ってアピールしている様子はあるのだけれど
 いかんせん男好きのする女ではない。
 よく言えば真面目、はっきり言えば融通がきかず、ノリが悪い。
 ダンナも怒らせないよう気をつかっているというか
 バカ扱いされないよう脅えている雰囲気がある。
 ああいう女はヤれたら終わりのタイプ。
 だからこそ寝る前の時間を長くとらせて情をわかせてやろうと
 思っていたのに、迂闊だった。
 タナボタ的ラッキーを期待しての浮気なのなら、とりあえず嫁が
 本格的にキレる前にさっさと目的を果たすのが男という生き物。

 ダンナは頑なに私と別れるつもりはないと言っているし、相手も
 若いのだから、どんなに長くても1,2年もすれば終わってしまう。
 自分でも持て余すほどに高いプライドをバシバシ傷付けられ
 精神科のご厄介になった挙句に離婚もできずでは我慢のし損。
 冷静に考えてみれば、今までも嘘つきだとか下品だとか
 うんざりしてはいたものの、本気で浮気を考えたのはA子さんが
 きっかけ。
 だったらもうむやみにストレスを蓄積させるのはただの自虐では
 ないだろうか。
 どうせ別れられないのならこれ以上我慢することもない気もする。
 そろそろキレてみようかなどと思うのは、ただ単に疲れているからか?

 また私の目の前で電話をしている。
 低レベルのくだらない電話。
 頭に来る。
 何が頭に来るって、こんなバカな男と結婚してしまったということ。
 はっきり言ってそっちの女とお似合いだ。
 頼むから離婚してくれ。別れてくれ。
 全てをなかったことにしてくれ。私の時間を返せ。
 「こんなに好きになった人はいない」と言いながら
 「絶対今までの彼女にこんなことは言えない」といいながら
 数年前私に言った言葉をそのまま繰り返す。

 ここまで人を侮辱しておいて
 ここまで人を辛い目にあわせておいて
 なぜ平気でいられる。
 絶対淋しい思いはさせないと言って
 遠くの土地に行っていた私をこの土地に呼び戻して
 5年も経たないうちにもうそれか。
 私は絶対にあなたを許さない。一生あなたを許さない。

 ……こんなに怒っていながら
 それでも意地汚く計算している私がいる。
 私は家政婦だと割り切って彼と住み、コツコツと積み上げたものを
 あと一歩で形になりそうなものを
 私はやっぱり諦め切れない。

 落ち着いて。落ち着いて考えよう。
 形になるにはまだもう少し時間が掛かる。
 今ここで怒って別れたら
 私は働きながらそれをしなければならない。
 それは無理だ。忙しすぎる。
 よくよく考えれば、私は二方向に手を伸ばしている気がする。
 「専業主婦」をやる理由のために、すぐお金になる仕事と
 本当にやりたいこと。
 近いようで実は方向が微妙に違う。
 いつ別れるかもわからない。
 とにかく優先は本当にやりたいことのほうだ。
 少しでも形を整えておかなければならない。

 私から別れると言ってはいけない。
 実家の親に話したら連れ戻される。
 長い間離れていたこの土地にこんなことを話せる友達もいない。
 ひとりで何とかするしかない。
 耐えろ、耐えて上手に別れを切り出させるのだ。
 昨夜も眠れなかった。今夜も多分眠れない。
 いっそそれでいい。これで死んだら両親に慰謝料が入る。
 どうせこの生活は長くはないのだ。
 途中で力尽きて死ぬか、向こうから別れを切り出してくるか
 目標が達成できてこちらから別れるか。
 どれでもいい。早くその日が来るといい。
 もはやここまで来ると、どれでもハッピーエンドに思えてくる。
 とにかく今が地獄なのだから。

 書きながら唇を噛み切ってしまった…
 隠さないとダメだ。
 私がここまで傷付いているとはダンナは知らない。
 私は何とも思っていないと、そう思わせて調子に乗らせて
 取り返しのつかないところまで追い遣らなければ。
 結婚なんてするんじゃなかった。何で結婚しちゃったんだろう。
 こんな男、最低だ。私が見た中で本当に一番最低の男だ。
 大嫌いだ。

バカ電話

 そして昨夜も電話が掛かってきた。
 私は本当に忙しかったので、もう席を外すこともなく
 ずっと同じ部屋でパソコンを叩いていた。
 しかし昨日に限ってあまり頭を使わない流れ作業。
 嫌でも会話が耳に入ってくる。違う仕事を残しておけば良かった。

 会話は実に下らない。
 「”おっぱっぴー”ってどう言う意味か知ってる?」
 「”猫を被る”の語源って知ってる?」
 そんな下らない会話で三時間くらい話していたのではないだろうか。

 ちなみに、上の件に対して余りにバカらしい見解が述べられていた。
 このつまらない日記のせめてもの潤いになるかもしれない。
 「オッパッピーはオーシャン・パシフィック・ピース。
 でもよくわからないんだよね、だって太平洋だったらパシフィック
 オーシャンだろ?何でわざわざ引っくり返すんだろう」
 前々から英語が得意だったと自慢していただけあり、妙にそれらしい
 イントネーションで語るから笑える。
 ダンナと同じように、何で”オッパッ”なのだろうと思った人が
 いると非常に失礼なので補足。
 オッパッピーは元々は隠語。何せ小島氏が連発するものだから
 苦情が来たとかで、苦肉の策としてオーシャンパシフィックピース
 (太平洋に平和を)とこじつけたということです。

 猫を被るに関しては、ダンナが笑える見解を述べていた。
 「昔、日本には体罰のひとつとして悪いことをしたら猫を頭から
 被せられるという罰があったんだよ。
 ほら、動くと顔を引っ掛かれるから動けないわけ。
 そこからおとなしくしていることを
 ”猫を被る”っていうようになったの」
 「冗談だけどね。信じた?いや、騙すつもりじゃなかったんだけど
 なんていうかな、今のは願望かな。こうだったらいいなーって」

 お前が猫を乗せておけ。

 オッパッピーはわからなくてもいいけれどもこちらは本気で恥だ。
 ねこというのはムシロのことで、会いたくない人にあったとき
 ぱっとムシロをかぶって知らない人のふりをする…が語源という説が
 とりあえずは一般的。他にも色々と説はあるけれども。
 というかそれを信じるA子さんって…頭…?

 こんな下らない話で数時間。何でもA子さん、携帯を水没させて
 しまったようで、お父さんの携帯から電話を掛けてきているらしい。
 電話代を見たら怒られないのだろうか。私には関係ないけれど。

 「もう先生と生徒じゃないんだから、先生はやめて」
 「敬語、なおらないかなあ。まあ癖だから仕方ないよね。
 これから先、いつかは普通に話してくれるようになるよね」
 何度も何度も同じ言葉を繰り返すダンナ。
 これから先、いつか…ね。
 私が聞いているとわかっていてそういう話をするというのなら
 これから先、いつかはお前じゃなくてA子さんと一緒にいたいと
 つまりそういうことを言っているのだろうか。私に。
 別れたいならはっきり言えばいい。言わなければ別れられない。
 私から別れたいと言えば、私のワガママで別れたと言うことに
 なってしまう。それでは困る。
 この結婚生活は打算だ。だから終わりも打算で迎える。
タグ:電話

初めての電話

 A子さんは無事免許を取得し、教習所を卒業した。
 いつだったのかは知らない。とにかく聞いたらもう卒業していた。
 同僚君はすっかりきれいさっぱり彼女のことは諦めたという。

 だが、だ。
 何故か突然、ダンナの携帯が鳴った。10月1日。
 彼はしごく当然のように電話に出て、一度切る。
 メールアドレスを交換し、家のIP電話から電話を掛け直す。
 「こっちの電話の方が電話代が安いから、こっちに掛けて」と。
 そして「また夜に電話するから」と電話を切った。
 私にはこう言った。
 「働いているとは言え、お金掛けさせたら悪いもんな」
 その相手が誰だなんてこと、私には当然わかっているんだろうと
 どうやらそんな雰囲気。

 その夜、再びダンナの携帯が鳴る。
 「こっちから掛けるからって、そう言わなかった?俺」
 ちらちらとこちらを見ながら電話に向かう。
 つまり、私がお風呂に入っている間に話そうとしていたと。
 あまりに考えていることが筒抜けでバカらしくなり
 私はすぐにバスルームに入った。
 狭いアパートなのでシャワーを止めると会話が聞こえてくる。
 その夜はシャワーを出しっぱなしにして、鼻歌を歌って入浴した。

 お風呂から出てくると、彼はまだ電話をしていた。
 私もさすがにやらなくてはならないことがあったので
 観念して彼と同じ部屋に入り、パソコンを開く。

 以前にもダンナの上っ面に騙された教習生から連絡が来ることは
 あった。電話ではなくメールや手紙だけれども。
 そして彼はいちいちそれらを私に見せ、どんなやりとりをしたか
 律儀に報告していた。
 しかしこの夜、結局彼は誰と何を話していたかを私に告げることは
 なかった。
タグ:電話

女の勘

 「本当はその娘、○○先生じゃなくてあなたが好きなんだよ」
 そう言って笑ったのはまだ暑いころだった。
 あの頃は本当にまだ、同僚君がA子さんに振られた可能性の
 ひとつでしかなかった。

 季節がだんだん涼しくなってくるにつれ、その言葉は洒落に
 ならないかもしれないと思い始めた。
 特に理由はない。ただそう思うとひどく不愉快に感じたため。

 ある日、同僚君が嬉しそうにダンナに告げたという。
 「昨日、A子さんが教習所に来ていたんだ」

 彼女は週末しか教習を受けに来ないため、平日に教習所の辺りを
 ウロウロしているということはありえない。
 あの辺りには若い子が遊ぶようなところもないし…というか
 はっきり言って教習所以外何もない所だから。
 彼女の家から教習所までは電車に乗らなければ辿り着けないが
 電車は一時間に2本程度。
 普段はお母さんの車で教習所に送ってもらっているらしい。
 もちろん職場も全然見当違いの場所。

 「ならば」俺に会いに来てくれたんだ…と同僚君は大喜び。
 しかし、私はその話を聞いて、何故か思った。
 ダンナに会いに来たのではないだろうか、と。
 もちろん被害妄想が激しいなともすぐに思ったが。

 今にして思えばその勘は大正解だったのだけれども
 普段まったく勘など働かない人間にもかかわらず
 こういう時だけは妙に鼻が利く。
 女って言うのは不思議な生き物だ。我ながら。

お局視点

 同僚君とA子さんの仲は一進一退。
 もともと同僚君はあまり自分に自信のあるタイプではなく
 どうしても積極的に彼女に近づけません。
 しかし不思議なことに、割と何でもすぐ諦めてしまう性格で
 しかも最初から「ダメだったらダメでいい」と言っていた割には
 地味ながらもせっせと連絡を取っている様子。

 不審に思ってダンナに理由を聞いてみると
 「恋人が欲しいとか恋愛をしたいとかそういうことは全く思えない」
 「先生はやっぱり先生で、恋人として見ることはできない」
 などと完全拒否しながらも、突然理由もなく電話を掛けてきたり
 特に用件もないのにメールを送ってきたりするから
 「もしかして」と期待してしまうのだとか何だとか。

 これに対してダンナは
 「男に縁がなさそうなタイプだから、○○君を断っちゃったことに
 罪悪感を感じてるんだよ」
 そうかなあ…

 私は実際にあったことがないし、ダンナづてに話を聞いているだけ
 だけれども、一度ダンナがTVCMを見ていて
 「A子さん、この子に似てる」と言ったことがある。
 誰かと言うと今をときめく綾瀬はるか。
 この頃ダンナがもう既に彼女を好きだったかどうかは不明ながらも
 あれだけの美少女に「似てる!」と即座に思うほどなら
 周囲の男が放っておくわけがない。
 ただでさえお嬢様風というのはちやほやされるのだから。

 そして私や私の友人が20歳過ぎの頃の心理状況、行動パターンを
 思い返し、辿り着いた結論。
 「それは○○先生をキープ君にしようとしているね。
 そうでなかったらA子さんの狙いはあなただよ」

 本当に男の人にまったく興味がなく、迷惑だと思っているのなら
 メールはともかく、このご時勢、電話なんて絶対自分から掛けない。
 それには何らかの意味があり、つまり同僚君をいいように使おうと
 思っているか、もしくは同僚君と仲のいいダンナ狙いかどちらか。

 「そんな子じゃないよ、A子さんはもっとおとなしくていい子だよ」
 見た目はそうだろうね。私だってお嬢様っぽいとか女の子らしいとか
 よく勘違いされるけれど、若い頃のすさみっぷりなんて見事だった。
 その当時でさえ「お嬢様」と思い込まれていたのも実話。
 男ってどうしてこうバカなのだろうか。

 だいたいそれだけ可愛くて男がまるっきり寄り付かないのであれば
 それは中身に問題があるとしか思えない。
 話を聞いていてもはっきりと性格が悪いと言う風には思えないので
 残るはあれだ。つまらない女だ。
 話をしていても冗談が通じない、ノリが悪い、その場を白けさせる
 女友達としてもお付き合いしたくないタイプ。

 こうして考えてみると、私はその頃からA子さんが
 嫌いだったのだなと少し驚く。
 今までもダンナに言い寄ってきた生徒は何人かいたが
 ひとりとして、ここまで「その娘は嫌い」と思ったことはない。
 女の勘なんて自分には全くないと思っていたけれど
 いざというときにはちゃんと働くものなんだなあ。

A子さん

 その浮気相手は、もともとはダンナの同僚が狙っていた生徒。
 あ、ダンナは教習所の指導員です。
 同僚君は私と同い年の32歳。性格もよく、博学なのですが
 いかんせんルックスはイマイチ。
 それに引き換えダンナはというと、はっきり言って美形。
 36歳ですが、どこからどう見ても20代にしか見えず
 実際高校生の教習生からもよくモテます。

 話を元に戻してその同僚君。
 彼はある初夏の日、場内教習で担当した教習生A子さんに
 すっかり心を奪われてしまいました。

 A子さんは金融会社勤務の22歳。
 ダンナの当時の印象によると、おとなしそうで真面目そう
 地味そうだけれどもファッションに興味がないわけでもない感じ。
 ずば抜けて美人ではないけれど「普通」の中では可愛い方。
 つまり中の上。堅い家のお嬢様という印象。
 …なのだとか。

 同僚君はどうアプローチしたらいいか悩み
 職場の中で一番女性にモテるダンナに相談しました。
 これが全ての失敗のもと。

 長くなりそうなのでこの話は次に続きますが
 同僚君は思いっきり勘違いしています。
 ダンナがモテるのは顔がいいから、それだけであって
 恋の駆け引きとかそんなものはまったくできないのです。
 恋に悩む男性諸君。
 恋愛相談相手はやたらとモテる友達にするのではなく
 不細工なのに何故か女友達が多い友達にするべきです。

三年目の浮気

 結婚して二年とちょっと。
 三年目の浮気なんてばかばかしいフレーズが頭をよぎりますが
 あれって亭主がそろそろ結婚生活に飽きてきて
 しかも自分もそろそろ恋愛現役引退だなとか思い始めるところに
 ちょっと背伸びしたい二十歳そこそこの小娘をつまみ食いして
 奥さんは奥さんで何せ初めてのことだからカンカンに怒って大喧嘩。
 しかしまあダンナも割と軽い気持ちで手を出しているものだから
 奥さんの剣幕にびっくりしてはい終了!という実に下らない儀式?
 実際に私の周囲でも同じ経緯を辿った友人はかなり多いです(笑)
 …いや、笑い事じゃないんですが…
 私もかなりグチを聞かされまくって
 神経性胃炎になったこともありますから…

 とはいえその馬鹿馬鹿しい儀式には付き合いたくありません。
 結婚生活三年目に突入した今この時点で
 ダンナにはすっかり愛想を尽かしてしまいました。
 だらしない生活態度、誠実さのかけらもない人間性…
 今こうして一緒に暮らしているのは
 ただ単に私にやりたいことがあり、そのための時間を確保するために
 専業主婦という名の住み込みの家政婦として雇われているのだと
 割り切って考えていますし
 雇い主は別に今のダンナでなくても構わないのです。
タグ:浮気

夫に女ができました。

 ダンナが好きで好きで仕方がなくて、浮気相手に嫉妬して…
 というテンションでもないので、そんなに面白い日記じゃないです。
 ただ、離婚することになったらちょっとでも有利に別れたいので
 どんなことがあったか手記代わりにブログを始めてみました。
 日記や手帳はダメなんです。
 私がお風呂に入っている間に見られているから。
 ダンナはパソコンが使えないのでとりあえずはここに。
 別に誰に見られたら困るとかそういうことは考えていませんし
 個人が特定できるような情報を書くつもりもありません。

 それからもうひとつ、ブログにした理由と言うのは
 「人に見られている」という意識を持ちたいため。
 病院にかかるほどではないのですが、多少私にはうつ病の気があり
 時々衝動でおかしなことを考えることがあるのです。
 突然死にたいと思ったりとか、家出したいと思ったりとか
 実際に行動を起こすわけではないのですが、
 これからますます忍耐を強いられる状況に入っていくでしょうし
 そうなったときに何をするかまで自信は持てないです。正直。
 私は昔から文字で言葉を表すと冷静になるタイプですので
 こうして自分を保っていけたらな、と。
 読まされるほうはたまったものじゃないのですが…すみません。
 気が向いたら見守ってやってください。

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